自動車整備に大変便利なエアラチェットレンチ。
この記事では、エアラチェットレンチを長年自動車整備に携わってきた筆者が、エアラチェットレンチの選び方、使い方を今までの経験に基づいて、どのような物を選んだらいいのか、どのように使ったらいいのかを解説します。
また、みなさんが買って後悔しないおすすめのエアラチェットレンチなどを紹介しています。
エアラチェットレンチとは
エアラチェットレンチとはラチェットレンチの一種で普通のラチェットレンチは手で動かしてボルト・ナットを回すのに、エアラチェットレンチはエアコンプレッサーで圧縮された空気を利用して軸を回転させてボルト・ナットを回します。
普通のラチェットレンチは、ラチェットのハンドルを手でストロークさせてボルト・ナットを緩めたり締めたりします。
そして、ある程度緩めて指で回るようになったらラチェットレンチを外して指の力だけで外します。
しかし、エアラチェットレンチはエアの力で緩めるので一度セットしたらそのまま最後まで緩めてしまって大丈夫です。
ゆえに手でラチェットレンチを動かすのに比べて速くボルト・ナットを外すことができるので作業スピードが全然違います。
ボルト・ナットを締める時にも同じ理屈で作業が速くなります。
また、普通のラチェットレンチではハンドルをストロークする為のスペースが無いと使うことができないですが、エアラチェットレンチではストロークを必要としないので、スペースが無い狭い箇所でも使用することができます。
以上のような理由で、自動車整備士にとっては必需品と言える工具でしょう。
エアラチェットレンチはさまざまな種類が販売されているので、購入する時には自分の作業目的に合った物を選ぶことが重要になります。
エアラチェットレンチの使い方
自動車整備においてエアラチェットレンチはエンジンルーム内、室内、足回り、ボディ外装といったすべての部分で活躍する工具です。
特にエンジンルーム内や室内といった、物が入り組んだ狭い空間での作業ではなくてはならない工具です。
エアラチェットレンチ本体のレバーを握るだけでエアの力で軸が回転するので、普通のラチェットレンチのようにハンドルを振るスペースがなくても大丈夫です。
エアラチェットレンチの使い方は簡単で、ソケットなどを差し込んでただレバーを握るだけ
それだけで、ボルト・ナットを簡単に緩めたり締めたりできます。
回転方向もレバーを切り替えるだけで正回転、逆回転が簡単にできて、回転スピードも簡単に調整できます。
このように大変便利なエアラチェットレンチですが数多くの種類があるので選ぶのにも悩んでしまいます。
エアラチェットレンチの選び方
差し込み角
1/4(6.35mm)
3/8(9.5mm)
1/2(12.7mm)
普通自動車整備において一番多く使われるのは3/8(9.5mm)です。
大型車の整備が主だったら、1/2(12.7mm)の差し込み角のエアラチェットレンチも持っていたほうがいいでしょう。
1/4(6.35mm)のエアラチェットレンチは、車の室内の部品の脱着作業に便利です。
スペースが狭い室内では、小型のエアラチェットレンチが向いています。
普通車の整備作業で一番使いやすいのが3/8(9.5mm)の差し込み角のエアラチェットレンチです。
3種類のサイズで迷ったら3/8(9.5mm)の差し込み角を選んでおけば間違いないでしょう。
本体の全長
全長の長さによって使いやすさが変わってきます。
全長が長いエアラチェットレンチの場合には、作業する箇所のスペースによって回りの障害物がじゃまでエアラチェットレンチが入らないという場面もでてくるので、狭い箇所の作業には向きません。
ただし、スペースが広い箇所では全長が短いエアラチェットレンチよりも使いやすいこともあります。
全長が短いエアラチェットレンチはコンパクトで狭いスペースで有効ですが、コンパクトゆえにトルクが弱くなってしまう物もあります。
そして、コンパクトゆえに大きいエアラチェットレンチと同等の性能を得るには、価格も少し高くなってしまうということがデメリットと言えるでしょう。
本体の重量
エアラチェットレンチは手に持って作業をする工具なので本体が重ければ当然手が疲れてしまいますので軽いに越したことはありません。
最大トルク
最大トルクが大きいほうが強い力で回せるのでボルト・ナットを緩めるときに有利です。
あまりトルクが強すぎても使いづらい場面もあるので、回転スピードの調整機構が付いている物を選びましょう。
エアラチェットレンチ おすすめは
アストロプロダクツの3/8(9.5mm)エアラチェットレンチです。
スタンダードサイズのエアラチェットレンチです。
レバーの握り具合によって回転スピードの微調整ができます。
低価格のわりには性能もよく自動車整備初心者のかたにもおすすめのエアラチェットレンチです。
KTCのインパクトタイプのエアラチェットです。
ツインハンマータイプなので強力なトルクでボルト・ナットを回せます。
エアラチェットレンチは便利な工具なのですが、普通のエアラチェットレンチはボルト・ナットを緩める場合にはエアラチェットレンチのパワーだけでは緩まないので最初にメガネレンチやソケットレンチを使って手で緩めてやる必要があります。
でも、このツインハンマーのエアラチェットでしたらその必要がなくエアラチェットの力だけで緩めることが可能です(注:あまり固く締まっている場合には、やはり最初はメガネレンチなどで緩める必要はあります)
固く締まったボルト・ナットは難しいかも知れないですが、自動車のアンダーカバーあたりのボルト・ナットでしたら錆びていない限り余裕で緩めることができます。
また、インパクトエアラチェットレンチの利点として手に衝撃がこないことです。
普通のエアラチェットレンチはボルト・ナットを締め付けていった場合に最後まで締まった時に手に反動がきます。
この時の衝撃って結構大きいんですよね。
手が回されるのでうっかりすると指にけがをしてしまうこともあります。
しかし、インパクトエアラチェットレンチは中のハンマーで叩いて軸を回すのでそのような衝撃は来ません。
これは非常に大きな利点で私は強力なトルクよりも衝撃が手に来ないほうが気にいってインパクトエアラチェットを買いました。
これならけがの心配もいらないのでストレスなく作業ができます。
KTCの小型エアラチェットです。
全長が17cmしかなくボディ自体がコンパクトサイズなので工具を入れづらい狭い場所の作業におすすめです。
また、ボディにフルコンポジットハウジング(特殊強化樹脂)を採用している為に重さがわずか500gしかありません。
これなら狭い窮屈な場所の作業でもストレスを感じないでしょう。
信濃のエアラチェットSI-1241Aです。
エアラチェットレンチでは珍しい首振り機能がついています。
普通のエアラチェットレンチは軸に真っ直ぐでないと差し込めないですが、これは首を振ることができる為に狭い所や廻りに障害物がある所でも使えるので大変便利なエアラチェットレンチです。
信濃のエアラチェットSI-1252です。
手元に正転逆転のスライド式のレバーが付いているので作業中に簡単に切り替えできます
普通のエアラチェットレンチは正転逆転の切り替えは両手で持って切り替えレバーを動かさなければなりません。
しかし、このエアラチェットレンチは片手で切り替えができるので作業中でも簡単に切り替えられます。
エアラチェットレンチに付けると便利な部品
エアラチェットレンチの圧力調整はたいていの場合マイナスドライバーなどで回すタイプが多いです。
ちょっとめんどくさいですよね。
そこでこのようなレギュレーターを取り付けることで楽に調整できます。
ダイヤルを手で回すだけなので簡単に調整でき、マイナスドライバーも必要ありません。
作業効率がグンとアップすること間違いないです。
エアラチェットレンチを使っていてエアホースがじゃまになったことはありませんか?
エアラチェットレンチにそのままの状態でエアホースを取り付けると真っ直ぐな状態なのでエンジンルーム内などの狭いスペースで作業をすると、どうしてもエアホースがじゃまになる時がありますよね。
そのようなときでもこれがあればエアホースを360度自由に角度を変えられるのでじゃまにならないですみます。
エアラチェットレンチのメリットとデメリット
エアラチェットレンチのメリットは、レバーを握るだけで回転するので、普通のラチェットレンチでは狭くてストロークができない箇所でも、ボルト・ナットを締め付けたり緩めたりが簡単にでき、尚且つ作業スピードも格段に早くなることです。
但し、エアが無いと使えないので、エアコンプレッサーが近くにない環境では使えません。(正確にはエアがなくても手でストロークして使うことはできますが、その場合には普通のラチェットレンチを使用したほうが使いやすいでしょう)
それが、エアラチェットレンチの唯一のデメリットと言えるでしょう。
まとめ
エアラチェットレンチは自動車整備には大変便利な工具です。
エアラチェットレンチひとつあるかないかで作業時間が全く違います。
しかし、エアラチェットレンチは選び方を間違ってしまうと使いずらい工具になってしまいます。
エアラチェットレンチを購入する時には、自分の用途に合った物を選ぶことが大切です。
今回は自動車整備初心者のかたにもおすすめなエアラチェットレンチを紹介させていただきました。
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