自動車整備では、部品を外すのにメガネレンチやスパナレンチではどうしようもない時があります。
例えば、ブレーキホースの交換やブレーキやクラッチのマスターシリンダーを脱着するときです。
これらの部品はパイプと繋がっているので、メガネレンチでは使うことができなくて、スパナレンチではナットの角を舐めてしまいます。
そういった時に役にたつのがフレアナットレンチやクローフットレンチです
今回の記事はブレーキホースやマスターシリンダーなどを外す時に便利なおすすめの工具
フレアナットレンチとクローフットレンチの紹介記事です
フレアナットレンチとは
フレアナットレンチとはメガネレンチのような形をしていて先の部分に溝が切ってある工具です
言葉で言うと難しいので画像でお見せしたほうが解りやすいですね
下の画像の工具がフレアナットレンチです
フレアナットレンチはどのような使い方をするのかというと、ブレーキホースやクラッチホースなどの接続部のボルトを緩めたり締めたりする時に使います
ブレーキホースやクラッチホースなどはパイプが邪魔で当然メガネレンチは入りません
ですから、スパナレンチなどのような工具でないと緩めることができないですが、ブレーキホースはパイプの接続部のボルトが結構固く締まっているので、スパナレンチではボルトの角を舐めてしまいます
そのような時に使うのがフレアナットレンチです
フレアナットレンチはメガネレンチの先の部分に溝が切ってある形をしていて、その部分がブレーキパイプを逃げることによってボルト・ナットにセットできます
メガネレンチと同じように使うことができるので、力が入れやすくボルト・ナットの角を舐めてしまうこともありません
ブレーキホースやマスターシリンダー、クラッチホースなどの取り外しなどには必需品と言えるでしょう
ブレーキパイプは付いている場所によって廻りに障害物などがあったりすることがあります
フレアナットレンチの角度によってはうまくセットできない事もあるので何種類か揃えておいたほうがいいでしょう。
このように角度が違います
また、角度を自由に変えられるフレアナットレンチもあります
ヘッドの部分が可動式になっていて自由に変えられます
ブレーキのマスターシリンダーやABSユニットのブレーキパイプなどはエンジンルーム内の入り組んだ箇所に設置されているのでフレアナットレンチひとつだけでは対応できない場合があります
ブレーキパイプの取り付け場所が狭くてフレアナットレンチが入れづらい場合は、無理に合わないフレアナットレンチを使って回したりすると、ボルトが舐めてしまう場合もあります。
そうなってしまうと後が大変なので、それぞれのフレアナットレンチを試してみて一番回しやすいレンチを使いましょう
フレアナットレンチは大変便利な工具なのですが、狭い場所では使いにくいし、仮にセットできたとしても力が入れづらいという欠点もあります
そういう時におすすめの工具があります
それはクローフットレンチという工具です
クローフットレンチとは
クローフットレンチという名はあまり聞いた事が無い工具名ですね
おそらく、プロの自動車整備士でないと知らない方も大勢いると思われます
しかし、自動車整備では重要な工具のひとつです
クローフットレンチは下図の形をした工具です
フレアナットレンチのヘッド部分だけを取ってラチェットハンドルやスピンナハンドルを付けられるようにした工具です
スピンナハンドルやラチェットハンドルと組み合わせて使えますが、ラチェットハンドルの場合はその機能をそのまま使えるわけではなく、ブレーキパイプなどのナットを一度緩めたらナットからレンチを一回切り離して、また角度を戻してナットにはめ込んで回す、という動作を少しづつしなければなりません
と言っても、一度緩んでしまえばあとはスパナレンチで楽に回すことができるので、最初だけしか使いません
クローフットレンチは、ラチェットハンドルやスピンナハンドルを組み合わせて使うので、フレアナットレンチでは固くて緩めることが難しい場面でも、少ない力で緩めることが可能です。
クローフットレンチはブレーキパイプの他にもラックアンドピニオン式の油圧式パワーステアリングのギヤボックスの油圧パイプのボルトを緩める時にも有効です
私の場合はむしろブレーキパイプのボルトよりもパワーステアリングの油圧パイプのボルトを緩める時のほうが役にたっています
パワーステアリングの油圧パイプのボルトはメンバーが邪魔になってフレアナットレンチでは回しにくいことが多いです
スパナではとても緩められないのでクローフットレンチが無いとどうにもなりません
パワーステアリングのギヤボックスの脱着などはめったにやらない作業ですが、あると無いとでは全然作業効率が違います
クローフットレンチを使う時の注意点
クローフットレンチを使うのに特別難しいところはないのですが、ただひとつ、クローフットレンチにセットするスピンナハンドルやラチェットハンドルは形状によっては使えない場合があります
下図のように、ラチェットハンドルをセットするとクローフットレンチの切り欠き部分に被さってしまって、ブレーキパイプのナットにセットする時に、ブレーキパイプがクローフットレンチにあたってしまってセットできなくなってしまいます
通常のスピンナハンドルならクローフットレンチの切り欠き部分に被さることはないので、スピンナハンドルを使うか、ラチェットハンドルを使う時には短いエクステンションバーをセットして使うことになります
ブレーキパイプを緩めたらフレアナットレンチやクロスフローレンチでいちいち付けたり外したりしてボルトを緩めていくのは面倒です
一度ボルトが緩めばスパナでも充分回るのですが、やはりスパナでも作業効率は変わりません
そんな時に役にたつのがクイックラチェット式のスパナです
ラチェット機構が付いているので、一度セットすればラチェットメガネのようにして使えるので大変便利です。
これがあればスパナをボルトからいちいち外さなくても連続して楽に回せるので作業時間が短縮できます
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