ディーラーで19年の経験を元に、自分なりに考えられることを言っていきますね。
走っている時には気にならないが、なぜかアイドリングで停車している時に、車がブルブル、ガタガタと振動する。
そのような症状の時には以下の原因が考えられます。
エンジンマウントゴムが切れて車が振動する
エンジンに特別異常がないのに、車が振動する場合ですね。
車のエンジンは、エンジンマウントと呼ばれる部品で固定されています。
エンジンマウントは、エンジンの前側に1個、後ろ側に1個と中央に1個又は2個使用されているのがほとんどです。
又、後輪駆動車の場合はエンジンが縦型に搭載されているので、その場合にはミッションの後ろ側にミッションマウントが1個付けられています。
エンジンマウントの役割
エンジンマウントの役割は、エンジンを固定すると同時に、エンジンの振動が車体に伝わりにくくする働きもあります。
また、車体が路面の凹凸で衝撃を受けた時に、その衝撃がエンジンにダイレクトに伝わるのを防ぐ役割もあります。
エンジンマウントは、金属とゴムを合わせて作られた部品で、ゴムの部分で振動を吸収するように作られています。
そのゴムが切れてしまうと、エンジンが大きく揺れてしまうので、車体がブルブル、ガタガタと振動してしまいます。
エンジンは、低回転の時のほうが振動を感じやすいので、信号待ちなどのアイドリングで停止している時に強く振動を感じます。
エンジンマウントが切れる原因
エンジンマウントは鉄とゴムを合わせた部品なので、ゴムの部分は劣化が避けられません。
劣化の原因はエンジンの熱や振動によるもの、また、エンジンをかけていなくても経年劣化で少しづつ傷んできます。
ゴムは経年劣化で硬化やひび割れが発生し、しまいにはに切れてしまいます。
このように、エンジンマウントは自然に劣化してしまうので、消耗部品ととらえておくべきです。
エンジンマウントは、急加速したり急減速をしたりすると、その慣性でエンジンが大きく揺れるので、ゴムの部分に大きな負担がかかります。
少しでもエンジンマウントを長持ちさせるには、これらのことをできるだけ避けることが大切です。
エンジンマウントが切れた場合のリスク
エンジンマウントが切れているのをそのままにしておくと、さまざまなリスクが伴います。
車体に伝わる振動で快適性が損なわれることはもちろんのこと、周辺の部品に悪影響を与える可能性もあります。
例えば、ラジエターのアッパーホースやロアーホースはエンジンとラジエターに繋がっているゴム製の部品です。
絶えずエンジンが大きく揺れていると、そのホース類も伸びたり縮んだりを繰り返すことになるので、耐久性が落ちてしまい交換時期が早くなってしまいます。
また、エンジンにはさまざまな精密部品が付いているので、それらの部品が振動で誤作動を起こしてしまう可能性も否定できません。
エンジンマウントが切れてしまうと、車の他の部品にも影響を与えるので早めに交換することが大切です。
エンジンマウントの交換費用はいくらかかるのか
エンジンマウントには種類があり、ゴム製、液体封入式、電子制御式、磁性流体式とありますが、ここでは一般的なゴム製のものについて説明します。
車の車種や交換する箇所によって多少価格は違くなりますが、ゴム製のエンジンマウントは価格がおおよそ3千円~5千円くらいのものが一般的です。
エンジンマウントの交換は切れている1箇所だけでも大丈夫ですが、どこか1箇所が切れているということは、その他の箇所もすぐに切れる可能性が高いので、できるなら一度に全部交換したほうがいいでしょう。
工賃は、車種によって違いますが、1台分でおおよそ1万円~3万円ほどです。
工賃に差があるのは、車種によって簡単にできるものと、そうでないものがあるからです。
車種によっては、メンバーを降ろさないと交換できないような車もあるので、そのような車は工賃が高くなってしまいますね。
エンジンマウントの点検方法
エンジンマウントが原因かどうかの点検方法はそれほど難しくはありません。
エンジンマウントが切れている場合には、アイドリング状態で停止している時に振動が大きいです。
特にオートマチック車でDレンジとかRレンジで停止している時は、オートマチックの負荷でアイドリング回転数が少し下がるので、余計に振動が感じやすいです。
DレンジからNレンジに戻した時に振動が収まれば、エンジンマウントの可能性が高いです。
また、エンジンの始動時や止めた時にガコンといったショックがあれば、エンジンマウントが切れている可能性が高い、と言えます。
まず、エンジンマウントのゴムが切れているかどうかは外観から判別できます。
主に切れやすいのは、エンジンの中央(後方)に位置しているマウントです。
車をリフトアップしなくてはならないですが、下から覗いてゴムが切れているかどうかは確認できます。
もし、確実に切れていることが確認できなかった時は、外して点検してみるしかありません。
エンジンマウントの交換はDIYでもできるのか
エンジンマウントの交換をDIYで行なうには、まずは次のような工具が必要になりますね。
・ジャッキ
・ウマ(リジットラック)
・メガネレンチ(14mm、12mm)
・ソケット(12mm、14mm)
・ディープソケット(14mm)
一応これらがあれば大丈夫ですが、場合によっては17mmのソケットやエクステンションバーなども必要となる時もあります。
ソケットやメガネレンチなどは、バラで買うよりもセットで買ったほうが後々便利なので、どうせ揃えるならセットでの購入をおすすめします。
エンジンマウントの交換方法
1、車のサイドブレーキをかける
2、車の輪止めをする
3、ジャッキアップする
4、ウマ(リジットラックをかける)
5、ジャッキをオイルパンに当ててエンジンを支える(この時に、ジャッキとオイルパンの間に木の板などをかませて、オイルパンを傷付けないようにしましょう)
6、古いエンジンマウントを外す
エンジンマウントをメガネレンチやラチェットレンチなどを使用して、ボルト・ナットを外します。
この時にジャッキでエンジンをしっかり支えていないと、マウントのボルトを外した時にガクッと急にエンジンが下がるので気をつけましょう。
7、新しいエンジンマウントをつけます。
外した順と逆の手順で行なっていけばいいだけです。
車によっては、リフトが無いとできない場合もあるので、そのような時には無理して行なわないで、整備工場に頼んだほうがいいです。
エンジンに原因があり停車中に振動する場合
エンジンに原因があって、信号待ちなどの停車中に車が振動する時もあります。
その場合は、エンジンのアイドリングが規定よりも低い場合が考えられます。
エンジンのアイドリングが低くなる原因
エンジンのアイドリングが低くなる原因としては以下の原因が考えられます。
・アイドル回転数の調整不良
近年の車は、エンジンのアイドル回転数を自動で調整しているものがほとんどですが、昔の車はアイドル回転数を手動で調整用のスクリュウを回すことで、エンジンの回転数を調整していました。
それの調整不良によりアイドル回転数が低くなってしまうこともあるので、その場合には調整しなおせば解消します。
・スロットボディやISCVの不具合
自動調整の場合には、ISCV(アイドルスピードコントロールバルブ)というものでエンジンのアイドル回転数を調整しています。
ISCVは、コンピューターによって制御されているのですが、そのISCVにカーボンが付着してしまうと、コンピューターが狙った通りの回転数に制御できなくなってしまい、アイドリングが不調となってしまいます。
そのために、エンジンがブルブルと震えてしまい、車がガタガタと振動してしまいます。
また、スロットルボディのスロットルバルブ付近にカーボンが付着してしまった場合にも、同じことが言え、アイドリングに不調をきたしてしまいます。
アイドリングに関係なく振動する場合
車が停車中だけではなく、走行中もガタガタ振動する場合は別の原因も考えられます。
ここでは、エンジンに絞って説明します。
点火系統の故障
・スパークプラグの故障
・スパークプラグコードの断線やリーク
・イグニッションコイルの故障
燃料系統の故障
・燃料ポンプの吐出圧不足
・燃料フィルターの詰まり
エンジン内部の故障
・シリンダーの摩耗
・バルブの密着不良
これらのことが考えられますが、いずれの場合もアイドリング時のみならず、走行時にも異常をきたします。(加速時にガクガクするとか、パワーが無いとか)
ですから、アイドリング時のみに絞れば、これらのことは除外してもいいでしょう。
まとめ
信号待ちなどで車が停車している時に、車がブルブル、ガタガタと振動する原因は
・エンジンマウントの亀裂
・エンジンのアイドリング回転数が低い
以上の2点が不具合箇所として考えられます。
エンジンマウントは、簡単にダメになる物ではないので、10万km以内で切れてしまうということは滅多にありません。
もし、少ない距離数で切れてしまったら、その原因も考えることが必要でしょう。
例えば、事故車でフレームが歪んでいたりすると、エンジンとエンジンマウントの位置がずれていたりして、無理な角度で取付けられていたりします。
そうなっていると、ゴムに無理な力がかかるのですぐに切れやすくなってしまいます。
中古車で購入した車で、エンジンマウントが切れてしまっているものは、そのようなところも点検する必要があります。
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