ほとんどの自動車整備士は自分の手持ち工具を自腹で購入しています。
なぜ、仕事で使う工具なのに自腹なのでしょうか?
普通に考えたらおかしいですよね。
会社によっては始めに工具1セットを会社で用意してくれる所もあります。
工具セットといっても自動車整備がなんとかできる程度のもので、基本的なスパナレンチ、メガネレンチ、ドライバー、ハンマー、プライヤー、ボックスなどが入っている物です。
まあ、それでも工具セット一式あれば車検程度の整備なら普通にできます。
特殊工具はさすがに自分ではそれほど多くは買わないですが、エアーラチェットとか作業時間が短縮できる物はある程度自分で購入もしました。
会社で何から何まで欲しい工具すべて用意してくれるというような会社はまず無いと思われます。
ちなみに私は工業高校の機械科を卒業してすぐ某自動車ディーラーに就職しました。
そのディーラーでは工具セットを半額だけ会社負担ということで購入しました。
19年間その会社に勤務してましたが、工具は最初に購入した工具で充分であとは会社の工具を使用していました。
そしてディーラーを辞めて民間の自動車整備工場に何件か勤めましたが工具を会社で購入してくれたのは1件だけでした。
中にはインパクトレンチでさえ自腹という会社もありました。
自動車整備で基本となるタイヤ交換の時に使う工具でさえ自腹なのですからさすがに驚きました。
普通は共有工具として2ヶくらいは用意してあるはずなのにそれさえ無かったです。
自動車整備士は経験を重ねるごとに作業効率というものを考えてゆき、もっと簡単に作業ができる工具はないか、はたまたこんな工具があったらもっと便利なのではないかと思うようになり後から後からいろんな工具が欲しくなってきます。
事実、工具を追加するたびに整備の仕事が楽しくなってきます。
例えばボルト1本外すのにもメガネレンチよりもラチェットレンチで外したほうがよっぽど早いし楽ですし、ラチェットレンチよりもエアーラチェットを使ったほうがもっと楽で早いです。
しかし、エアーラチェットなどの工具は会社では買ってくれないので自分で買うしかありません。
たとえ会社で用意していたとしてもせいぜい1本か2本なのでみんなで使うというわけにもいかないでしょう。
必要な時には他の人から借りればいいじゃないかと思われる方もいると思いますが、基本的に自動車整備士は自分の手持ち工具を人に貸すのを嫌がります。
それは、人に貸して自分が大切に扱っている工具を傷つけられたり壊されたりするのが嫌だからです。
ですから自分はあまり人から工具を借りたりすることはしません。
必要があれば自分で買い足しています。
まあ、それは人にもよりますが中には平気で人から工具を借りてそのまま帰ってこない場合もあります。
自分で使う工具は自分で揃えたいものです。
だからと言ってすべてを自分で揃えるのには無理があります。
会社で用意できる物はきちんと会社で購入してもらうように上司に掛け合うのも必要です(特に高額な工具に関しては)
本来ならば会社の仕事をするのに必要な工具であって会社に利益を与えているのだから全部会社で負担するべきことなのにそれができないということは自動車業界にとって恥ずべきことです。
まあ、そうは言っても年々自動車整備工場は少なくなってきています。
若い人も今は自動車に興味を持つ人が少なくなってきており自動車整備工場はいつも人手不足でやむなく工場を閉鎖せずにいられない所もあります。
特に民間の自動車整備工場はコスト的にも大変厳しい状況なのでよけいなところにお金を使いたくないというのが本音でしょう。
そういうことなので自動車整備士が自腹で工具を購入しなければならないのはしょうがないところもありますが、安い給料からさらに工具の為に出費するのですからできるだけコストを抑えたいところです。
自動車整備初心者のうちは給料も安いのでできるだけ工具にかかるコストは抑えたいところです。
工具代を抑える為には工具をひとつひとつばらばらで購入するよりセットで買ったほうが断然お得です。
大抵の工具セットは一応最低限の物は揃っているのでなんとか車検とか定期点検などの整備はできます。
仕事を覚えていってだんだんと難しい仕事をおこなうようになってきたら必要な工具を追加していけばいいでしょう。
では、その工具セットはどこで購入するのが賢いのでしょうか?
安く手に入れるのだったらやっぱりネット通販で買うのが賢い方法です。
初めの頃はスナップオンなどの高級な工具は必要ないです。
でも、あまり安すぎても品質に問題があるので、ある程度の信頼性も必要です。
あまり安い工具はボルトやナットを舐めてしまう可能性もあるので、ホームセンターなどで販売されている名前も聞いたことのないようなメーカーの工具は避けましょう。
おすすめはSK11の工具です。
価格と品質のバランスが取れた工具で、コストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。
SK11の工具セットです
工具のセット内容は133点揃えてありこれだけあればしばらくは買い足さなくても大丈夫でしょう。
工具を自分で揃えるのには利点もあります。
会社の仕事以外で自動車の整備をするときには、普段使っている工具を家に持ち帰って整備ができます。
会社で支給された工具だったら自分の家に持ち帰るのは気がひけるし、会社によっては会社の工具だから持ち出しは厳禁というところもあるでしょう。
また、会社を辞めて違う整備工場で働くとなった時にも、そのまま今まで使用していた工具を持っていけばいいので、スムーズに次の職場でも仕事をすることができます。
普通の会社員の方に、自動車整備士は自腹で工具を揃えるんだよ、と言うとみなさん驚きますが、私はそれが普通だと思っています。
当ブログでは、たくさんのあると便利な特殊工具も紹介していますが、すべて自分で購入した物です。
ちなみに私はキャビネットも自分で買いました。
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