ボルトのねじ山やナット側のネジ溝が舐めてしまって、ボルト・ナットを取り付けることができない、などということはよくあることです。
そのような時に役立つのがタップ・ダイスです。
タップ・ダイスは自動車整備にはなくてはならない工具で、必ずといっていいほど必要とされる時がきます。
この記事では、ネジ山やネジ溝が舐めてしまった時に便利な工具、タップ・ダイスの使い方について解説いたします。
多くの方が日常的に使用するネジですが、使っているうちにどうしてもその形状が損なわれてしまうことがあります。
特に、自動車やバイクの整備の際に、ネジ山やネジ溝が舐めてしまうと作業が滞ってしまうことは少なくありません。
このような問題に直面した際、適切な対処方法を知らないと、さらなるトラブルを引き起こすことにも繋がります。
そこで、タップ・ダイスという工具の出番となります。
この便利なツールは、ネジの修復や新しいネジ山の作成に非常に役立ちます。
タップ・ダイスを正しく使用することで、元の状態に戻すことが可能です。
本記事では、タップ・ダイスの基本的な使い方だけでなく、ボルトのピッチの調べ方、自動車のボルトの締め付けトルクの違い、さらにはバイクや自動車のスタッドボルトが折れてしまった場合の対処法についても詳しく説明していきます。
タップ・ダイスを使いこなすことで、ネジに関するトラブルを効果的に解決できる力を身につけましょう。
これから、ネジを本来の姿に戻すためのノウハウをお伝えしていきます。
ボルトのピッチとは 調べる方法
まずは、ボルト・ナットのピッチに合ったタップ・ダイスを使用することが大前提となります。
ボルト・ナットのピッチと違うタップ・ダイスを使ってしまうと当然ネジ山は舐めてしまうので修復が不可能となってしまいます。
ボルトのピッチは、ネジの山と山の間隔を表し、取り扱う際に重要な要素です。
正確なピッチを把握するためには、専用の工具や、ピッチゲージを用いると良いでしょう。
また、ボルトの種類によって異なるため、対象のボルトが何かを理解することがまずは大切です。
ピッチを調べる手順には、ボルトを目視で確認する方法や、図面やデータベースから参照する方法もあります。
正しいピッチを知ることで、適切なタップ・ダイスを選定することができます。
このため、ボルトのピッチはネジ加工を行う上で避けては通れない重要な情報です。
自動車のボルトは箇所によって締め付けトルクが違う
自動車整備において、ボルトの締め付けトルクは非常に重要な要素です。
ボルトが装着される箇所により異なるトルクが要求されるため、適切なトルクで締める必要があります。
各部品の設計上、適正なトルクで締めておかないと、ボルトが壊れたり、部品の付け根が破損する可能性があります。
これを防ぐために、整備マニュアルには各ボルトに対するトルクの規定が記載されており、これに従って作業を行うことが重要です。
さらにトルクレンチを使用することで、誤差を最小限に抑えることができ、整備作業の精度を高めます。
整備士は、ボルトのトルク管理をしっかりと行なうことで、車両の安全性を確保するのです。
バイクや自動車のスタッドボルトが折れたら
スタッドボルトが折れると、大きな手間と危険が伴います。
まず第一に、折れた部分に注意を払うことが重要です。
ボルトが折れた場合、残った部分からの取り外しは難易度が高い作業となりますが、タップ・ダイスを使うことで修復が可能です。
最初に、残ったスタッドボルトを中心にドリルで穴を開け、次にタップを利用してネジ山を新たに作り直す工程が必要です。
適切な工具を利用することで、確実にボルトを除去し、新たなスタッドボルトを装着することができるのです。
また、これを行う際には、周囲の部品に影響を与えないよう十分に注意することが求められます。
工具を駆使して、的確に対処することが重要となります。
タップ・ダイスは高価な物ほどやはり精密度は高く、スナップオンやMacツールなどはネジの山や溝が全くない平らな状態からでも、ねじを切っていくことが可能です。
ただし、価格もそれなりにするのでプロ向けと言えるでしょう。
素人の方がたまに使うのだったら、アストロのタップ・ダイスでも充分です。
スナップオンやMacツールなどのような加工精度はないですが、ねじの修復程度なら充分できるので、価格も安いのでおすすめです。
値段も手ごろなので初心者のかたにもおすすめの タップ・ダイスセット です。
タップ・ダイス の 使いかた
ダイスは、ボルトのネジ山が舐めてしまった時に、ネジ山を修正する工具です。
ダイスの使い方ですが、まずはボルトの径とピッチを確認します。
これ、以外とミスッてしまうことがあります。
ボルトの径は合わなければスカスカになったり、入らなかったりでまず間違うことはないですが、ボルトのピッチは見た目で判断してしまう場合があり、間違って違うピッチのサイズを使ってしまう場合があります。
で、そのまま回してしまい、なんだかやけに固いなと思ったら、ボルトのネジ山を潰してしまい、修正不能となってしまうこともあります。
そういうこともあるのでピッチのサイズはきちんと確認しましょう。
ピッチと径は必ず確認ですね。あせってやると失敗します。
その次にやることはボルトの清掃です。
修正するボルトに泥などが付着しているとタップを回したときに異物を噛み込んでしまってネジ山がおかしくなってしまいます。
そしたらそのボルトはもう修正が効かないので交換するしか方法がなくなってしまいます。
何事にも整備の基本は清掃から始まるのできちんと面倒くさがらないでおこないましょう。
清掃するときはワイヤーブラシなどでこすってやってもよいですし、エアーガンなどが使える環境であればきとんとエアーを使って汚れを吹き飛ばしてあげましょう。
そしたら、ダイスをセットして回していきます。
このときにいっきに最後まで回していくのではなく、少しづづ回して戻して、回して戻してを繰り返して徐々に削っていくのがポイントです。
潤滑剤などを吹き付けながらエアーガンなどで切りかすを吹き飛ばしながら、少しづつ削っていきましょう。
そのまま最後までいったら戻して終了です。
ナットのほうを修正するときに使うのがタップですが、やり方はダイスのときと同じです。
両方ともハンドルにセットした状態です。
ボルトのピッチとは 調べる方法
ボルトのピッチとは下の画像のギザギザ部分の谷から谷、または山から山の部分の寸法をいいます。
画像の黄色の矢印の幅です。
ここの幅のことをピッチといい普通自動車で使われているボルトは1.25mmとか1.5mmとかが多いです。
私の持っているアストロプロダクションズのタップダイスのセットにはピッチサイズを測るものも付いているので、それを使ってきちんと測ればピッチサイズを間違えることもありません。
このようなものでボルトのギザギザの部分にあててピタリと合ったもののサイズを読みます。
ピッチゲージというものでこれを使えばボルトのピッチを間違えるということは無いでしょう。
ボルトのピッチは車種によってさまざまなのでボルトやナットをタップダイスで修正する場合にはきちんとサイズを確認してからおこないましょう。
ミリとインチの違いもあるので注意しましょう。
自動車のボルトは箇所によって締め付けトルクが違う
自動車のボルトには締め付けトルクというものがあります。
ボルトをどのくらいの力で締め付けたらよいのかという基準値でボルトの大きさや強度によって違います。
ボルトの頭に数字が表示されていますがこれはボルトの径ではなくて強度を表しています。
これ、以外と知らない人も多いです。8と記載されているから8ミリの径だろうと勘違いしないでください。
重要保安部品などには強度の強いボルトが使われているので、折れてしまったからといってホームセンターなどでサイズが同じボルトを買ってきて交換したりすると、走行してるうちに強度不足で折れてしまう場合があるので絶対にしてはいけません。
ホームセンターなどで売られているボルトは自動車用ではないので強度が表示されていないのがほとんどです。
バイクや自動車のスタッドボルトが折れたら
バイクや自動車の整備をしていてスタッドボルトが折れてしまった場合は、スタッドボルトを抜く為の専用の工具を使えば、楽に抜くこともできます。
スタッドボルトリムーバーという特殊工具でこのようなものです。
中にローラーが入っていてボルトを差し込み、回すとローラーがボルトに食い込みボルトが抜けてくる仕組みになっています。
簡単にスタッドボルトを抜くことができますが、弱点としてネジ山がつぶれてしまうので、スタッドボルトは再使用できなくなってしまいます。
それと、私が実際使ってみて、スタッドボルトが錆びついたりしていて回りがあまりにも固いときには、ローラーが滑ってしまってスタッドボルトが抜けないときもありました。
そのようなときにはこのような特殊工具がおすすめです。
画像ではちょっとわかりづらいですが、大きいナットと小さいナットがありそれぞれを締め付けることによってスタッドボルトをロックします。
これを使えばスタッドボルトのネジ山を潰すこともないので、スタッドボルトを再使用することができます。
筆者もこの工具を持っていない時は、バイスプライヤーなどで咥えて回していたので、大変苦労しました。
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