自動車の整備をしていて、みなさんはこのような経験はありませんか?
・部品を外そうとしたらプラスチックの部分が割れてしまった。
・割れてしまったプラスチックを瞬間接着剤でくっつけようとしたが、思うようにくっつかない。
・以前に瞬間接着剤で修理した箇所がまた割れてしまった。
私も自動車整備を長年してきて、このような経験が何回もありました。
瞬間接着剤はどんなに高価な物を使用しても、付ける部品の形状や箇所によってうまくつかない場合があります。
また、一時的には大丈夫でもまたいくらも経たないうちに剥がれてしまうこともあります。
正直言って瞬間接着剤では一時しのぎの感じが強く、自動車の整備ではあまりおすすめはできません。
車は走行時には絶えず振動が出ています。
ゆえに、瞬間接着剤ではその振動に耐えられないのでしょう。
車の割れたプラスティックを接着するのには、振動にも強く熱にも強くなければなりません。
そのような事を考えると、接着剤でくっつけるのではなくはんだごてでの溶接が一番良い方法です。
はんだごてでのプラスティック溶接はこのような時に便利
プラスチックの部品で壊れやすい状況は、接合部がはめ込みになっている場合です。
ビスやネジやクリップなどでとまっている場合は、それらを取れば簡単に外せるのですが、問題ははめ込み式で取り付けられている時です。
まだ新しい場合には少々はめ込みが固くても問題なく外れますが、古くなって硬化してしまった場合などは割ってしまうこともあります。
古くなってくると大抵の場合、はめ込みが固くなってしまっているので、力任せで外そうとしてしまいます。
それで無理やり引っ張って外そうとするとプラスチックなので割れたりひびが入ってしまうことがあります。
そういった場合には瞬間接着剤などで補修したりするのですが、うまくつかなかったり、ついてもすぐ剥がれてしまったりします。
正直言って瞬間接着剤では、うまく接合できないですし、仮にくっついてもすぐに剥がれてしまうことが多いです。
プラスチックを熱で溶着して割れた部分を修理するという半田ごてです。
プラスチックを溶接で接合してしまうという物です。
プラスチックを溶接なんてできるの?
と思う方もいるでしょうが、できるんです。
普通、溶接というと溶接棒を熱で溶かしてくっつけるのですが、プラスチックウェルダーは熱でプラスチックを溶かしてくっつけます。
ですから、当然鉄などの溶接はできません。
プラスチック専用の溶接機です。
でも、実際に使ってみて本当に溶接できるのか?
と思ったので、さっそく購入して実験してみました。
使い方はただ半田ごてを温めて対象となる物を溶かしてくっつけるだけです。
プラスチック溶接のDIY活用例
今回使用したのは SANKEN の80Wプラスチックウェルダー という商品です。
届いた製品を開けてみると中には
このような物が入っていました。
このように仕上がりました。
あまり上手にできなかったので仕上がりは汚いですが慣れてくればきれいにできると思います。
ちなみに両手で引っ張ってみても取れることはありませんでした。
このように軟質のプラスチックなどは簡単に溶着できましたが、自動車などに使われているセンサーの樹脂部などは材質が硬いので溶けませんでした。
販売会社の商品説明によりますとこのSANKEN の80Wプラスチックウェルダー は車のプラスチックバンパーやラジエターアッパータンク、ロアータンク、ウオッシャータンク、バッテリー、コンソール、アームレストと幅広い部品の修理に使えるということだそうです。
車のプラスチックバンパーやウオッシャータンク、コンソール、アームレストなどは理解できるのですが、ラジエターアッパータンク、ロアータンクなどは圧力のかかる箇所だし、バッテリー?というのが正直な感想です。
まあ、プラスチックを接着剤でつけるわけではなく熱でプラスチックを溶着するわけですから鉄の溶接と同じ原理なわけで、強度的にはまったく問題ありません。
このSANKEN の80Wプラスチックウェルダーは、自動車の部品だけでなく、プラモデルやその他のいろいろなプラスチック製品に使えるので、大変便利な半田ごてです。
はんだごての使い方と注意点
プラスティックを溶接する時のはんだごての使い方は簡単です。
1、はんだごてをこて台に載せる
2、電源を入れて温める
3、こて先を清掃する
4、こて先が熱くなったらプラスティックを溶かして接合する
鉄を溶接する時に使う溶接棒などは必要ありません。
はんだごてでプラスティックを溶接する時の注意点としては以下のことがあります。
1、煙の対策
プラスティックは溶けると煙がたくさんでます。
中には有毒ガスが含まれている可能性もあるので、換気の良い場所で作業することが大切です。
2、熱対策
はんだごての作業全般に言えることですが、はんだごてはかなりの高温になります。
火傷に注意することはもちろんですが、近くに可燃性の物質が無いことを確認しましょう。
また、はんだごてを置く場所は熱に強い材質でできている物でなければなりません。
はんだごて専用の台が便利です。
はんだごてによるプラスチック溶接の効果
はんだごてによるプラスチック溶接の効果は絶大で、接着剤などで補修したものに比べてはるかに強度が高いです。
接着剤などでは力が加わった時に剥がれてしまうことが多いですが、はんだごてを使っての溶接ではプラスティックが折れるほどの力を加えない限り、剥がれてしまうことは無いです。
まとめ
プラスティックが割れたり、ひびが入ってしまった時には、接着剤で接合するよりはんだごてで溶接したほうが強度が高く、すぐに剥がれてしまうこともないので安心です。
はんだごての使いかたは簡単なので、特別な技術を必要とするわけでもありません。
家庭でのDIYにも役立つのでひとつ備えておくと便利です。
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