オイル上がり、オイル下がりの調べ方と原因、修理費用を解説

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この記事では車のエンジンのオイル上がりとオイル下がりの違い、症状、原因は何か、その調べ方、修理費用などについて解説しています。

 

車の白煙

 

走行中にマフラーから白い煙が出ると気になりますよね。

 

ガソリン車においてこの白い煙の正体はエンジンオイルが燃焼室に入ってガソリンと一緒に燃えてしまうことが原因です。

 

たぶん車の構造に詳しく無いかたなどは、オイル上がりとかオイル下がりといった言葉は知らないと思います。

 

ただ単に、車のマフラーから白い煙が出ている、としか思わないと思います。

 

運転中はほとんど前を向いていることが多いので、バックミラーなどを見ても少しくらいの白煙では気づきにくいです。

 

それなので、白煙の量が多くなってきてから初めて気づくことが多いです。

 

白煙の量が運転中でもバックミラーで見てはっきりと解るくらいになってしまうと、修理をするのにかなりの金額がかかってしまう、ということを理解しておきましょう。

 

私はディーラーで19年、ディーラーを辞めてからも他の自動車整備工場でたくさんのオイル上がりやオイル下がりをおこしてしまった車の修理をしてきました。

 

その経験を元に、車のオイル上がり・オイル下がりの見分け方について詳しく解説します。

オイル上がり・オイル下がりとは

 

エンジンの下の部分(シリンダー)からエンジンオイルが侵入してしまって白い煙が吐くことをオイル上がりと言って、エンジンの上の部分(シリンダーヘッド)からオイルが侵入して白い煙が吐くことをオイル下がりと言います。

 

オイル上がりもオイル下がりも、エンジンオイルがガソリンと共に燃えてしまうので、どちらにしてもエンジンオイルは減ってしまいます。

 

もし、マフラーからの排気煙がなんか白っぽいな、と感じたらエンジンのオイル量をレベルゲージで確認して、オイルの量が少なかったら早めに対策をする必要があります。

 

また、似たような現象としてマフラーから水蒸気が出て白い煙を吐く時がありますが、この場合はマフラーの中に溜まった水分がマフラーの熱によって加熱されて水蒸気となって出てくるので、異常ではありません。

 

特に、気温が低い時にはそのような現象が出やすいので、オイル上がりやオイル下がりと勘違いしてしまう場合もあるので気をつけましょう。

 

オイル上がりもオイル下がりも、どちらにしても結構な修理代がかかりますが、オイル上がりとオイル下がりでは必要になる金額が全然違います。

 

オイル下がりの場合には、シリンダーヘッドのオーバーホールだけで済みますが、オイル上がりの場合にはエンジンを降ろしてピストンリングの交換が必要になりますし、場合によってはシリンダーのボーリングなども必要となる時もあります。

 

シリンダーのボーリングとは、シリンダーの内面を削って内径を大きくすることです。

 

当然、今までのピストンでは径が小さくなってしまうのでオーバーサイズのピストンに交換しなければなりません。

 

その分部品代が余計にかかる訳です。

 

また、ボーリングの工賃もかかる為オイル上がりの修理はかなりの金額を覚悟しなければなりません。

 

オイル上がりとオイル下がりの診断を間違えてしまうと、それにかかる工賃にも大きな差ができてしまうので、間違った判断をしないようにしっかりと見極めることが大切です。

 

また、近年の車のエンジンは小型化が進みボーリングができない車もあります。

 

そのような車は、エンジンを交換しなければならなくなってしまいます。

 

オイル上がりの原因

 

オイル上がりの原因には以下の3つが考えられます。

 

・ピストンの摩耗

・ピストンリングの摩耗や固着

・シリンダーの摩耗

 

エンジンのピストンとシリンダーの間には、ピストンクリアランスと呼ばれる隙間が設けられています。

 

ピストンの摩耗やピストンリングの固着、シリンダーの摩耗などでそのクリアランスが大きくなると、エンジンオイルがその隙間から上がって燃焼室に入ってしまいます。

 

その結果、ガソリンとエンジンオイルが混ざって一緒に燃えてしまい、マフラーから白い煙となって排出されます。

 

オイル上がりは下からエンジンオイルが上がってくるのでピストンの往復運動が早いほどオイルが燃焼室に入る量が多くなります。

 

ですからエンジンを回せば回すほど白い煙の量は多くなります。

 

エンジンのピストン

 

オイル下がりの原因

 

オイル下がりの原因には以下の2つが考えられます。

 

・バルブステムの摩耗

・バルブステムオイルシールの密着不良

 

オイル下がりの原因はシリンダーヘッドのバルブステムとバルブガイドの間からエンジンオイルが燃焼室に入ってしまい白い煙となって排出されてしまうことです。

 

バルブステムの摩耗やバルブステムオイルシールの密着不良などが原因となります。

 

では、オイル上がりかオイル下がりかの調べ方はどのようにするのでしょうか。

 

オイル上がりの調べ方

 

エンジンを暖気した後、エンジン回転を2千回転から3千回転くらいでレーシングさせてこのときの排気ガスの状態を点検します。

 

このときに白煙が出てエンジン回転を上げていくと白煙が激しくなってきます。

 

このような時はオイル上がりと判断します。

 

オイル下がりの調べ方

 

エンジンを暖気した後、5分くらいアイドリングで放置します。

 

その後エンジンをレーシングさせると30秒から1分間くらい白煙を排出します。

 

すると、だんだんと白煙が少なくなってきます。

 

この後再び同じことを繰り返すと同じような症状が確認できます。

 

このような時はオイル下がりと判断します。

 

以上のような調べ方でオイル上がりとオイル下がりを判別することは可能ですが、白煙の状態がどちらとも言えない、といった場合にはオイル上がりとオイル下がりの両方を起こしている可能性が高いです。

オイル下がりがあるとアイドリング時に白煙が多い理由は

 

オイル下がりはシリンダーヘッドのバルブステムからオイルが侵入してきます。

 

エンジンがアイドリング回転ということは、スロットルバルブが閉じているのでインテークマニホールドの負圧が高い状態です。

 

インテークマニホールドの負圧が高いと、シリンダーの中の負圧が高い状態なので、シリンダーヘッドのオイルがバルブステムの隙間を通ってシリンダーの中に吸引される形になります。

 

ですからスロットルバルブを開けた状態(エンジン回転が高い状態)のときはインテークマニホールドの負圧が低くなるのでエンジンオイルの侵入が少なくなり白煙は少なくなります。

 

オイル上がりオイル下がりの症状

 

オイル上がり、オイル下がりに共通して見られる症状は、マフラーからの白煙です。

 

エンジン暖気後の加速時に白煙が多くなればオイル上がりの可能性が高く、反対に減速時に多い場合はオイル下がりの可能性が高いです。

 

白煙と似たものに水蒸気がありますが、どちらも白いので間違えやすいです。

 

特に、気温が低い時にはエンジンをかけてしばらくの間はマフラーから水蒸気がで出ているので、オイル上がりやオイル下がりと混同しないことが大切です。

 

判断の目安としては、水蒸気の場合はエンジンが完全に暖まった状態ではほとんど出なくなるので、しばらく走った後に白煙が出ていなければ大丈夫です。

 

オイル上がり、オイル下がりのもう一つの症状としては、エンジンオイルの減りが早くなることです。

 

オイル上がり、オイル下がりの症状が軽い場合にはマフラーから白煙が確認されないこともあります。

 

車のエンジンは正常な状態でもオイルは少しづつ減っていきますが、その減り方が早い場合にはオイル上がり、オイル下がりの可能性も考えられます。

 

マフラーからの白煙が目立つところまでオイル上がりオイル下がりといった症状がひどくなってしまったら、そのエンジンはオーバーホールして直すか交換するしかありません。

 

オイル下がりであれば、シリンダーヘッドを外してバルブ、バルブガイド、バルブオイルシールの交換が必要になります。

 

シリンダーヘッドだけなら簡単そうに思う方もいるかも知れませんが、シリンダーヘッドを外すにはタイミングベルト又はタイミングチェーンなどを外す必要があるので、結構な工賃がかかります。

 

オイル上がりであれば、ピストンとピストンリングの交換が必要で、場合によってはシリンダーのボーリングなども必要となる場合もあります。

 

車によってはボーリングができないエンジンもあるので、その場合にはシリンダーを交換しなければならないですが、現実的にはリビルトエンジンに交換したほうが安上がりになる場合が多いです。

 

シリンダーヘッドを外してのオイル上がり、オイル下がりの点検

 

エンジンのオイル下がり

 

オイル上がりの場合には、ピストンとシリンダーの間からエンジンオイルが上がってくる為ピストン頂部の外周に多量のカーボンの付着が見られます。

 

オイル下がりの場合には、インテークバルブの傘部の回りにエンジンオイルの付着もしくはカーボンの付着が多くみられます。

 

エンジンオイルが減っていた時に考えられることは

 

オイル上がり、オイル下がりともにエンジンオイルが減ってしまうのは先ほど申し上げましたが、オイルの量が減っているからと言って、オイル上がり、オイル下がりを起こしていると考えるのは早計です。

 

レベルゲージでオイル量が少なかったら、まずはオイルがどこかからか漏れていないことを点検しなければなりません。

 

エンジンのオイルが漏れやすい箇所は下記の記事で述べているので、それを参考にしていただければと思います。

 

車 や バイク の エンジンオイル漏れの多い箇所は

 

そのうえで、オイル漏れがないことを確認してからオイル上がり、オイル下がりを疑いましょう。

 

もちろん、はっきりと目で見て白煙が確認できるようだったらオイル上がり、オイル下がりの可能性は高いですが、エンジンオイルはエンジンにどこも異常がなくても走れば少しづつ減ってしまうのは仕方がないことです。

 

長い間オイル交換をしていなければ、それだけでもオイルは消費します。

 

できれば、5,000kmくらいでのオイル交換はしておきましょう。

 

オイル上がりオイル下がりの対処方法

 

オイル上がりの原因にはピストンリングが大きく関わってきます。

 

では、ピストンリングの役割はどのような役割があるのでしょうか。

 

ピストンリングの働きは機密保持、オイルのかき落とし、熱のシリンダーへの伝道などがあります。

 

エンジンオイルの不足やオーバーヒートなどでシリンダー壁の油膜が切れて傷ができたりすると、ピストンリングとシリンダーの隙間が大きくなってしまい、オイル上がりの原因となってしまいます。

 

また、ピストンリングにカーボンやスラッジが固まってピストンリングが動かなくなってしまう現象をスティック現象といいますが、それが起きるとピストンリングの気密性や油かき性能が悪くなりオイル上がりの原因となってしまいます。

 

オイル上がり、オイル下がり共にエンジンオイルのメンテナンスに大きく影響を受けます。

 

エンジンオイルの粘度が低すぎる場合、エンジンオイルが少ない場合、オイル交換時期をはるかに過ぎていて劣化している場合などはエンジンオイルが燃焼室に侵入しやすくなってオイル上がり、オイル下がりの原因となってしまいます。

 

オイル上がりオイル下がりの対処法として、エンジンオイルの粘土の高いものを使うということも有効な手段です。

 

オイルの粘土が高ければ、オイルはバルブガイドの隙間やシリンダーとピストンの隙間から燃焼室に入りづらくなります。

 

但しデメリットもあり、寒い冬場などはオイルの抵抗でエンジンがかかりづらくなるかも知れないし、多少燃費が落ちるかも知れません。

 

オイル上がりやオイル下がりが軽度の場合にはエンジンオイルの添加剤を試してみるのもひとつの方法です。

 

添加剤はどの車にも効くというわけではありませんが、白煙がそれほどひどくなければ添加剤でなおる可能性もあります。

 

エンジンのオーバーホールとなると高額の修理代がかかってしまいますが、添加剤で改善すればわずかな出費で済むので一度試してみる価値はあります。


 

まとめ

 

オイル上がりやオイル下がりがひどい場合にはエンジンのオーバーホールが必要となってしまうので、何十万円と修理代がかかってしまいます。

 

もちろん、その金額は車によって差があるのですが、軽自動車でも20万円~30万円くらいはかかってしまいます。

 

普通車の場合にはその倍はかかってしまうと考えてもいいでしょう。

 

中古のエンジンを見つけて載せ替える、という方法もありますが、中古のエンジンは基本的に保証が無いのでまたいつ壊れてしまうかも解りません。

 

それだったらいっそのこと車を買い替えたほうがお得な場合もあります。

 

車を乗り替えるとなると、今乗っている車をどうするかですが、高額な修理代がかかるような車は、ディーラーなどに下取りに出したとしてもいくらにもなりません。

 

場合によっては廃車をする為の処分費用がかかることもあるかも知れません。

 

それだったら、車を下取りに出すよりもカーネクストなどのように廃車にするような車でも高額で買い取ってくれるような業者に依頼したほうが断然お得です。

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