車を運転していてハンドルを切ると、ギギギ、ギシギシ、キーキー、コトコトなどと異音がしたら気になりますよね。
このような異音がしていると、いったいこの異音の原因はどこから出ているのか?
このまま走行していても問題はないのだろうか?
車検はこのままでも通るのか?
などと不安になるものです。
ここでは、元ディーラー整備士が、ハンドルを切ったときにギシギシとかギギギなどといった異音がする8つの原因と、それに対処する方法を解説していきます。
最初に言っておきますが、車検に関しては、ただ異音がしているだけでは通らないということはないです。
しかし、音がでている箇所によっては、ガタがあれば修理しないと通らないこともあります。
ハンドル切ると、ギギギ、ギシギシなどの異音の原因
走行中にハンドルを切った時に異音がする原因として考えられる箇所としては、以下の部分が上げられます。
1、スタビライザーリンク
2、タイロッドエンド
3、ステアリングギヤボックス
4、ロアーアームのボールジョイント
5、スタビライザーのマウントブッシュ
6、ショックアブソーバーのアッパーマウント
7、ステアリングギヤボックスマウントのゴムブッシュ
8、ステアリングシャフトのジョイント
車を運転していてハンドルを切ると、ハンドル→ステアリングシャフト→ジョイント→ステアリングラック→タイロッドエンド→ステアリングナックルへと伝わります。
それらの連結部分の摩耗や固着などで、ガタが出たり動きが渋くなったりすることで、ギギギ、ギシギシ、キーキー、コトコトなどと言ったさまざまな異音が発生します。
ハンドルを切った時に異音が発生しやすい箇所
ハンドルを切った時に異音が発生しやすい箇所には以下の部分があります。
タイロッドエンドのボールジョイントのガタや固着
タイロッドエンドのジョイント部分はゴムのブーツで覆われていて、中にはグリスが封入されています。
ブーツが切れているとグリスが飛び出てしまいグリス不足となるとともに、泥などが侵入してしまい、中のボール部分が摩耗してしまってガタや異音が発生してしまいます。
ブーツが切れていると車検には通らないので、ブーツを交換して新品のグリスを入れてあげる必要があります。
ガタがある場合にもやはり車検には通らないので交換しかないですが、音がするだけでしたらグリスとブーツの交換で解消する場合もあります。
ステアリングギヤボックスマウント部ブッシュの摩耗
ステアリングギヤボックスはメンバーにステーで固定されていますが、ステーとメンバーの間にゴムのブッシュがあります。
そのゴムのブッシュが摩耗すると、ハンドルを切った時にステアリングギヤボックスが少し動いてしまいます。
その動いたときにギギギとかギシギシと異音がします。
ここからの異音の場合には、ゴムのブッシュに潤滑剤を吹き付けることによって音が消えるか小さくなります。
音が変化したら、間違いなくここの部分なので比較的判断は容易です。
ステアリングギヤボックスのラックの錆び
ステアリングギヤボックス本体からも異音が発生する時があります。
パワーステアリングではそのようなことはまずないのですが、パワーステアリングでない軽トラックなどの場合は、ラックが錆びてしまうとブッシュとラックの摩擦によって、ハンドル操作時に、ギギギ、ギシギシなどといった異音が出てしまいます。
ステアリングラックはゴムのブーツで覆われていて泥や雨水などが侵入しないようになっていますが、そのブーツが切れていたりすると泥や雨水の影響でラックが錆びてしまいます。
ブーツが切れていると車検も通らないのでブーツは交換しなければなりません。
ロアーアームのボールジョイントのガタや固着
ロアーアームのボールジョイントは、タイロッドエンドと同じ仕組みなので理屈はまったく同じです。
ロアーアームのボールジョイントは、アームに直接取り付けられた物と、ボルト・ナットで取り付けられて分割できるタイプがあります。
交換する時には当然ボルト・ナットで取り付けられた別体式のほうが部品代も交換工賃も安くなります。
異音がしていなくてもブーツが切れていたり、ガタがあるようだったら車検は通らないので交換が必要になります。
ショックアブソーバーのアッパーマウントからの異音
ショックアブソーバーのアッパーマウントからの異音は、原因特定が難しい部分です。
アッパーマウントのゴムのブッシュのヘタリなどでハンドルを切った時に、ギギギなどと異音がする場合があるのですが、場所的に外からは見えにくい部分なので特定するには外して点検するしかありません。
但し、水などをその部分にかけてみて音に変化があれば、アッパーマウントのゴムのブッシュの可能性が高くなります。
ステアリングシャフトのジョイント部の異音
ステアリングシャフトのジョイント部のグリスが切れたり、泥や埃などがついて動きが固くなるとハンドルを動かした時にギギギとか異音がする時があります。
その場合にはシャフトのジョイント部を手で触ってみると、若干振動を感じとれます。
ジョイントにガタがあれば、ハンドルを左右に振った時にコトッと音がします。
修理方法としてはジョイントのボルトを締め付けてもなおらない場合は、ジョイントを交換するしかありません。
ハンドル切るとキーキー、キューキュー異音の原因
ハンドル切るとキーキーとかキューキューといった軽い音がする時には、ステアリングシャフトとゴムのブーツが擦れて音が発生している場合が多いです。
ステアリングシャフトはステアリングギヤボックスと繋がっているので、室内に雨水や泥が侵入しないようにゴムのカバーで覆われています。
ゴムのカバーとシャフトには隙間があってはいけないので常に密着した状態になっています。
それで、ゴムが固くなったり埃などが付着したりすると、ハンドルを切るたびにシャフトが回転して擦れるので、キーキーとかキューキューとか異音がします。
音の特徴としては足回りなどの異音よりも、軽い音になります。
対処法としては、ゴムとシャフトが密着している部分にスプレーグリスなどを吹き付けてやると音は消えます。
基本的に音がしたからといって、ゴムが特別固くなっているとか、摩耗しているとかでない限り、グリスを吹き付けるだけで音は解消するので、部品を交換する必要はないです。
スプレーグリスは、低粘度のタイプだとすぐ落ちてしまうので、高粘度のタイプで耐水性の高いものがおすすめです。
走行中にコンコン、カタカタ異音の原因
タイロッドエンド、ロアーアームのボールジョイント、ステアリングシャフトのジョイント、ステアリングラックマウントのゴムブッシュ、ショックアブソーバーのアッパーマウントなどは、ガタがあれば、ハンドル操作に関係無く直進時でも路面の段差などによってコトコト、カタカタなどの異音が発生することもあります。
また、路面の段差で音が出やすい箇所として多いのが、スタビライザーリンクやスタビライザーのマウントブッシュです。
スタビライザーリンクには、上の図のようにロアアームに繋がっている短いタイプと、下の写真のようにショックアブソーバーに繋がっている長いタイプがあります。
異音が発生しやすいのは下の写真のように長いタイプで、ボールジョイントにガタがあったり、取り付け部のナットが緩んでいたりするとコンコン、カタカタといった音が出てしまいます。
また、スタビライザーのマウントブッシュはブッシュがへたってくると、スタビライザーとブッシュに隙間ができてしまうので異音が出やすくなってしまいます。
私の経験からして、コンコン、カタカタといった異音が聞こえた場合に、まず真っ先に疑ってかかるのがこの2箇所です。
それくらいこの2箇所からの異音の数が多いということです。
まとめ
ハンドルを切るとギギギとかギシギシとかの異音がする時には、タイロッドエンド、ロアアームやアッパーアームのボールジョイント、ショックアブソーバーのアッパーマウント、ステアリングラックのマウント部のブッシュなどが主な原因です。
ハンドルを切った時だけ異音がするのか、ハンドル操作に関係無く直進時でもするのか、によって原因も違ってきます。
異音がする場合には車を上下に揺すったり、ハンドルの据えきりをしたりして、異音が発生していると思われる箇所を手で触ったり、握ったりすると手に振動が感じられるのでそこの箇所が原因と判断することもできます。
ただ、ひとりでは無理なのでふたり以上が必要になります。
車の異音というのはプロでも特定に時間がかかることが多いです。
また、不具合箇所によっては走行に支障をきたす恐れもあるので、異変を感じたら早めに自動車整備工場などで点検してもらいましょう。
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