自動車の整備をするうえで重要なことは、いかに工具を効率よく使うかです。
いくら自動車整備の知識や技術があったとしても、使う工具がダメでは効率の良い整備はできません。
工具がダメだと、ボルトやナットの頭を舐めてしまったりしてしまうこともあるので、工具を選ぶ時には品質の良い工具を選ぶことが大切です。
工具を選ぶ時の基本としては、使いやすく、品質の良い、価格もあまり高くないものが理想です。
価格が高いものはやはり品質も良く、長持ちもします。
但し、スナップオンなどの工具は国産の工具とは価格も一桁違うので考えてしまいますね。
でもどうせ買うなら、一生使える工具がいいな、と思うのも当然です。
この記事では、一生使える、品質が良くて価格も高すぎない、強度が高くコストパフォーマンスに優れた工具セットを自動車整備歴30年以上の筆者が紹介していきます。
・自動車整備に使う工具セットって一生使えるの?
・工具セットを購入する時の注意点は?
・安い工具はなぜいけないの?
・工具セットでおすすめなものは?
・工具を長持ちさせるには?
これらの悩みをお持ちの方にぜひ読んでいただきたい記事です。
自動車整備に使う工具セットって一生使えるの?
結論から先に述べますと使えます。
実際に筆者は30年以上前に買った工具でも現在使っています。
しかし、使い方によったり、物にもよったりもします。
きちんとした使い方をして、しっかりとした品質の物であれば使えますし、そうでない場合はすぐ壊れてしまったり、使いづらくなってしまうこともあります。
最初から一生使える工具セットを選ぶのでしたら、ある程度価格が高くても品質の良い工具を選んだほうがいいでしょう。
安い工具セットでは、低品質の物が多いのですぐ壊れてしまう物が多いです。
一生使える工具セットを購入する時の注意点
一生使える工具セットを選ぶ際には次に掲げることに注意しなければなりません。
間違って購入してしまうと、実際の作業で使いにくくなってしまったり、全く使えないこともあります。
規格にあった工具を選ぶ
自動車に使われているボルト・ナットには規格があります。
国産の車はボルト・ナットにミリ規格を使用しています。
そして、外国車はインチサイズを採用しているのが多いです。
ですから、自分の整備する車が国産車か外国車かによって買う工具も違ってしまいます。
間違って購入してしまうとその工具はまったく使えないので、そこのところを間違えないように注意しましょう。
外国車の場合には、インチサイズのボルト・ナットを使用している車が多いので、国産車の他にも外国車も整備することがある場合には、ミリサイズとインチサイズの両方を用意しておく必要があります。
工具の精度や強度も重要
家庭でのDIYで使う程度なら安い工具でも充分ですが、あまり価格が安過ぎる工具は自動車整備には向きません。
自動車に使われているボルト・ナットはどれも精度が高く締め付けトルクも大きいです。
それなので、使う工具もそれなりに精度が高く頑丈な物でなければなりません。
ボルト・ナットを緩めたり締めたりする時に精度が悪くてガタがあったらボルト・ナットを舐めてしまう原因にもなります。
そして、ある程度の強度も必要です。
使用している途中でいきなり壊れてしまったら作業者の怪我にも繋がりかねません。
ホームセンターなどでも安い工具がたくさん売られていますが、そのような工具は正直言って自動車整備には向いていません。
一生使うことを考えるならば、工具専門店で販売されている多少価格が高くても品質の良い工具がおすすめです。
工具の精度が悪いとどうなるか
スパナを例にたとえると、スパナの口の部分の精度が悪いと、スパナの口の部分とボルトの頭の部分にガタができてしまいます。
すると、スパナを回した時にボルトの面とスパナの面が密着しないので、接触する部分が点の接触になってしまいボルトの頭を舐めやすくなってしまいます。
また、力が一点にかかってしまうのでスパナの口も広がりやすくなってしまいます。
そのような理由で長く使うことは難しくなってきます。
安い工具を何回も買い直すよりも、最初から少し高くても品質の良い工具を買ったほうが、結果的にはお得です。
差し込みサイズも重要
ラチェットレンチを例にすると
1、1/4″(6.3mm)
2、3/8″(9.5mm)
3、1/2″(12.7mm)
となります。
普通自動車の整備には、差し込みサイズは3/8″インチ(9.5mm)がおすすめ
工具セットに入っているソケットやラチェットレンチには差し込み角というものがあります。
差し込み角というのは、ソケットに差し込む4角の穴のことで、自動車整備で多く使われるサイズは3/8″(9.5mm)が圧倒的に多いです。
1/4″(6.3mm)や1/2″(12.7mm)のサイズもたまに使うことはありますが、それほど機会が多くはありません。
1/4″(6.3mm)サイズの工具は、室内などの狭い箇所で使うことが多く、エンジンや下回りの整備では使う機会は滅多にありません。
反対に、1/2″(12.7mm)のサイズの工具は室内では使わないし、エンジンルーム内の作業でもあまり使うことはないです。
1/2″(12.7mm)のサイズの工具は、主に下回りなどの太いボルト・ナットが使われている箇所の整備に使用することが多いので、お金に余裕があったら1セット揃えておくのもいいでしょう。
軽自動車や普通自動車の整備だったら、3/8″(9.5mm)が1セットあれば充分だと言えるでしょう。
トラックなどの大型車の整備には1/2″(12.7mm)のサイズも必要となります。
おすすめの自動車整備工具セット
一生使えるということを念頭におけば、KTC工具セットがおすすめです。
KTCは京都機械工具株式会社で工具メーカーでは70年以上の歴史を誇る老舗です。
自動車整備関連では知らない人はいないほどの有名なメーカーで、筆者もディーラーに入社した時からずっと愛用していました。
国内の自動車メーカーとも深いつながりがあり、多くのディーラーや自動車整備専門学校などでも使われている工具です。
その品質は間違いのないもので、信頼性の高い工具です。
国産の一流メーカーという安心感もあり、多くの自動車整備士が愛用しています。
価格はそれなりにしますが、そのぶんの価値はある工具なので購入して後悔することはないと言えるでしょう。
一生使える工具としておすすめの工具セット
KTC 9.5sq. 78点 工具セット オリジナルツールセット オリーブドラブ SK37820XODEM
ktcの工具セットでチェストタイプです。
工具箱はチェストタイプなので持ち運びには不向きですが、工場内や自宅で置いて使うには引き出し式の箱は使い勝手が良いです。
工具の点数も78点と数多いので、普通の整備でしたら不足のない数です。
使用頻度の高い工具をトップ部に収納して、使いやすさを向上しています。
KTCの工具だけあって精度や耐久性にも問題はなく、その使いやすさにおいても満足できる工具セットです。
価格はそれなりにしますが、一生使えると思えば安いものでしょう。
京都機械工具(KTC) ツールセット 両開きメタルケース ブラック 56点組 SK35621WGBK
KTCの両開き式の工具セットです。
工具箱はメタル(金属)製で持ち運ぶのに向いていますが、その分工具の点数はチェストタイプよりは少し少ないです。
京都機械工具(KTC) ツールセット ツールチェスト 二輪整備向け レッド 56点組 SK35621XMC
バイクの整備に最適な工具をチョイスした工具セットです。
バイクの整備と自動車の整備では必要とする工具が少し違うところがあります。
自動車用としても問題ないですが、バイクの整備を主とする人にはこちらをおすすめします。
京都機械工具(KTC) ツールセット 片開きメタルケース 家庭用 レッド 43点組 SK34321S
家でDIYで車やバイクの整備をするかたの為におすすめの工具セットです。
工具点数は43点と少なく抑えられていて軽量なので、持ち運びもしやすいです。
価格も購入しやすい価格なので、家庭での作業にはベストな工具セットです。
KTC(ケーテーシー) 工具セット 片開きプラハードケースタイプ SK34010PS
車に積んで置きたい方におすすめの工具セットです。
工具箱は、片開きプラハードケースタイプで軽量で持ち運びも楽で、サイズもそれほど大きくないので車に積んでいても邪魔にはなりません。
KTC(ケーテーシー) モトクラブシリーズ ライダーズメンテナンスツールセット MCK3140
バイクでツーリングにいった時にもしもの時に役立つ工具セットです。
ツーリングバッグに収まるようにツールバッグはロールタイプを採用して、できるだけかさばらないように工夫されています。
普段のバイク整備にも十分活用できる工具が揃っています。
【アストロプロダクツ】AP ツールセット ブラック(83点組)TS179
低価格の工具でも案外定評があるのがアストロプロダクツの工具です。
筆者も利用させてもらっていますが、今までに壊れて使えなくなってしまった工具はありません。
価格の割りには使い安い工具で、一生使えるかはなんとも言えませんが、壊れにくく、工具セットは欲しいがあまりお金はかけられない、という方におすすめの工具セットです。
SK11(エスケー11) 整備工具セット 133点組 ブラック 各種メンテナンス対応 SST-16133BK
安くても点数が多い工具セットが欲しいけど、あまり品質が良くないのは嫌だな、と考えている方におすすめの工具セットです。
工具点数は133点という圧倒的な量で、それでも価格は高くないのでこれから自動車整備を始める初心者の方にはうってつけの工具セットです。
まとめ
一生使える工具の条件は、精度・強度・耐久性が必要とされます。
その為にはある程度価格が上がってしまうのもやむおえません。
自動車整備が初心者のうちは、無理をして高い工具を揃えることもないですが、あまり安過ぎる工具は、すぐ壊れたり使いずらかったりでいくらもたたないうちに買い換えてしまうことになります。
できるだけコストパフォーマンスの良い工具セットを選ぶことが大切です。
また、高い工具だからといってもむちゃな使いかたをすれば、その工具は一生使えるものではなくなってしまうので、使いかたも重要です。
工具は大切に扱えば長持ちするものなので、愛情をもって使っていきたいものですね。
コメント